アニメ 好きめが

で、アニメ版「好きな子がめがねを忘れた」を見てどう感じたか、というお気持ちを吐き出した記事です。

昨年コミックスを買ってハマったばかりの、浅いファンである自分が言うのもあまりにおこがましいとは思いますが、おおむね良いアニメ化だったと思っています。

おおむね、と書いたのは、不満に思った部分もあるためです。端的に言えば「やりすぎ」と「原作に負けている」

 


やりすぎ、について。

いまだコロナ禍の影響等で作画が放送期間途中で息切れしてしまったり、放送スケジュールが延期になってしまう作品もある中、アニメ好きめがの映像は非常にクオリティが高く、最後までその高いクオリティを維持したのは素晴らしいと思います。

 

ただ……例えば、第1話冒頭の小村くん主観視点による登校風景。確かにすごい演出ですし、高揚感を表現しているという意図を知ればわからなくはないのですが、はたしてここまでこったことをやる必要があったのかと。すごいけれど、違和感の方が強かったです。

 

また、学校内の風景。空気中を舞うホコリがキラキラと光って、雰囲気はありますけど、そこまでやる?と。あれが無いと今度は隅々まで描き込まれた校内の風景に違和感が出てくるとかあるのかもしれませんが。

街の風景もやたらリアルに作られていて、好きめがの作風にそこまで必要かな?と。

 

キャラクターデザインについても、三重さんの髪はそこまでもさもさ、ふわふわしてる?みたいな。小村くんが惚れてしまうわけですし、原作でもかわいいと言及されていますから、どう見ても美少女なデザインは間違いではないとは思います。最初のキービジュアルを見た時には目を奪われましたしね……

 

原作の藤近先生の絵柄は、どちらかと言えばシンプルで、やわらかいタッチだと思うので、かなり描きこまれたアニメ版の映像には違和感を覚えてしまいます。残念な作画になってしまうよりは全然いいですから、贅沢な悩みなのでしょうが……

 


原作に負けている、について。

原作を読んで、グッと引き込まれた、すごくいいなあと感じた、魂をつかまれたシーンをアニメ版で見るとあれ??と思ったことが何度かありました。

 

例えば、第9話、三重さんが小村くんの表情から「特別」に気づくシーン。原作だとコミックス4巻終盤のシーンですが、1ページ全体で三重さんの表情を大きく描いて、非常に印象的なシーンになっています。

 

しかし、アニメ版だとそこまででもない。間の取り方というか、見せ方のせい? メディアの違いもあるでしょうが、もうちょっとなんとかなったのでは?と思ってしまいます。

 

また、第11話、体育館を抜け出した三重さんと小村くんが校庭に二人きりのシーン。原作では5巻終盤のシーンですが、どこか緊張した空気感と、二人のやり取りに引き込まれます。しかし、アニメ版は映像こそきれいですが、テンポ感、見せ方のせいか原作ほど緊張感が無い。

(上記は自分の違和感をそのまま見事に言語化している指摘がAnnictに投稿されていてなるほど!と。つまりほぼ受け売り(汗)

 


逆にいいな、と思ったシーンもあります。

先述の第9話、迷子になった三重さんを小村くんが見つけた後、三重さんが自己嫌悪から泣き出してしまうシーン。会話のテンポ、見せ方が良く、原作の良さが再現されたシーンだと感じました。キャストの熱演もあったと思います。

 


そう、アニメ版のキャスティング、これについては手放しで賞賛したい!!

三重さん役の若山詩音さん、PVを見た時点ではたきな(リコリス・リコイル)や夢芽(ダイナゼノン)の人か、こういう声も出せるのね、という感じでしたが。

原作読んだらもう、三重さんのセリフが若山さんの声でしか聞こえない! 普段のほわっとした感じ、コミカルなシーンのかわいさ、シリアスな時の純粋さ、三重さん以外の何者でもない。

 

小村くん役の伊藤昌弘さん、最初はまあ、悪くないのでは?なんて思っていましたが、話数が進んでいくにつれ、これは間違いなく小村くんだと。

小村くんは三重さんが好きすぎて気持ち悪い部分が出てしまいがちですがw
その気持ち悪さと男子中学生のかわいらしさのバランスが絶妙で。シリアスなシーンでの、小村くんのまっすぐな気持ちが乗った声も見事でした。

 

お二人はラジオでも素晴らしくて。若山さんはとにかくハイテンション、伊藤さんがなんとかついていこうとしている印象でしたがw
アニメ本編についても熱く語ってくれる、非常に面白くて楽しいラジオでした。


他のキャスト陣も素晴らしかった。

東くん役の木村良平さん、小村くんが言う通り間違いなくイケメンの声。そしてまったく嫌味がない。東くんもいい子ですしね。(原作10巻の小村くんとのエピソードよかったなあ)

 

小林裕介さんの八坂くんもよかったなあ。小村くんとの距離感が絶妙。こういう友達欲しいよなーと思いました。

 

女子組もよかったですねえ。特に染谷さんと火渕さんが、声のおかげで解像度が滅茶苦茶高くなりました。じゃれ合う二人かわいすぎでしょう……

 

小村ママの小清水亜美さんはああっ!小村くんのお母さんだこれ!と第一声で思いましたし、三重ママのゆかなさんはゆゆゆ、ゆかなさん!?解釈一致すぎでしょすごすぎと感動しました。いやマジで。

 


長々と書いてきましたが最初に書いた通り、不満もあるものの、良いアニメ化だったと思っています。毎週、放送が早い順にABEMA→AT-X→BSと3回見ても飽きずに楽しめていましたし。

 

何より、原作者である藤近先生が非常に楽しんで見られていたようなので、もうそれだけで良い作品だと思います。原作者が喜んでいたら、ファンだって嬉しいですし。

 

好きめがBDと原作コミックス